
きなこ
@kinako2025
2026年7月26日

マンダラチャート
垣谷美雨
読み終わった
考えさせられる
垣谷美雨という作家はフェミニズム小説の手練れなのだが、この小説はその中でも秀逸なのでは?と思う。
主人公は63歳の北園雅美。定年延長して嘱託として働いている夫と二人暮らしだ。
何かにつけバカにしてくる夫に対して最近嫌悪感が募ってきている。
世の中の女性を軽んじている風潮も苦々しく思っている。
ある日彼女は近所のカフェでモーニングを食べていた。週二回だけのささやかな贅沢だった。カフェの客たちは知人の噂話をする中年女性やルッキズムまみれの男子学生たち。思わず彼女はテレビで見た、大谷選手の作成したマンダラチャートを思い出し、自分も書いていく。真ん中には「女性が胸を張って生きられる世の中にする」。周りのマス目にも「家庭内の設備は、家事に熟練した人間が設計すること」、「偏見に満ちたコマーシャルを全部排除すること」、「偏見に満ちた発言をするアナウンサーを馘にすること」などと書き込んでいった。するとマンダラチャートの中心が台風の目のようになり、雅美の全身は吸い込まれていった。
そして彼女がタイムスリップをして行った先は昭和の日本だった。
自分が生きてきた社会をまざまざと目の前に出されると、狼狽える。雅美のように何も分かっていなかった若かりし頃の自分に、叱責しつつ教え諭したい。
男尊女卑の偏見に満ちた社会で精一杯抗おうとする彼女は、結果が出なくても十分にかっこいいし、応援したいと思う。
少しずつでも良くなっているんだよね?と振り向きながら確認している自分にも、小さな賞賛をおくりたい。


