
Haruhito
@haruhito27_reads
2026年7月26日
「ユマニチュード」という革命
イヴ・ジネスト,
ロゼット・マレスコッティ,
本田美和子
読み終わった
ケアは歴史的に聖職者の仕事だった名残から、一方的な慈善や奉仕と思われがちである。しかし、その固定観念によって生じる『救う側・与える側』というある種の特権意識が、患者を『救われる側・管理される側』に押しとどめ主体性を奪ってしまってはいないか。そして、医療者・介護者側もその意識によって「こんなにも尽くしているのに報われない」と消耗し、バーンアウト(燃え尽き)を引き起こしていないだろうか。
ユマニチュードでは、介護者も患者も『互いに人間である』ということに立ち返り、『与え合う関係性』を目指しながら、両者の硬直した関係性を解こうとする哲学・技法である。『与え合う関係性』は、友人や夫婦間の関係性にも当てはまるものである。このとき、何をもってして等価とするか、は互いの価値観の擦り合わせが必要である。「こんなにも働いているのに…」や「こんなにも家事をしているのに…」と考えるのは役割契約に準じて、『等価』の認識に齟齬が生まれているせいでもある。互いを人間として尊重する関係性の見直しが求められる。意思疎通が困難な認知症患者においても、この『人間らしい関係性』を築くことが大切だと著者は述べる。実際の現場には理想論を求められない事情もあるだろうが、ユマニチュードは、患者と介護者の両方の心に配慮する『解放の哲学』でもあった。
