sea
@sea06297
2026年7月28日
憐憫
島本理生
読み終わった
「この人生は本物じゃないのかもしれない。瞼を開けたら全てが一変しているかもしれない」という不安と期待。柏木さんは沙良を騙すつもりはなくて、あの時手を離さなければあったかもしれない別の人生を取り戻すように生きていただけなんだろうと思った。演じていたわけではない、自分自身を飲み込むような嘘。島本さんの小説にはよくこういう人物が出てくる。
自他境界という言葉が叫ばれるようになって、互いに依存し合うような関係は未熟だと思われがちだけど、境界を失うほどひとつになりたい=分かり合いたいという思いをかけらも持っていない人などいるのだろうか。それでも最後には境界線を引き直す強さを持った(そうしなければ生き延びてこられなかったとも言える)沙良が好ましい。
「あなたが私を分かっていることを、私は分かっていて、あなたが分かっていることを私が分かっていることを、あなたは分かってる」
