化皮 "推し、燃ゆ" 2026年7月29日

化皮
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@bakenokawa813
2026年7月29日
推し、燃ゆ
推し、燃ゆ
宇佐見りん
「面白い」とは、なんだろうと思う。 この本が面白いかというと、そうは答えづらい。無限の地獄が連なっていて、その地獄の中で歩くための命綱が、この子にとっては「推し」だった。物語の中心部は推しが燃えたことによる感情の動揺というより、命綱とこの子の体を繋いだカラビナの破損と、バランスを崩し続け地獄の底に落ちていってどこにも掴まれない落下の過程にある。 止めることができずに最後まで読んだ。そういう本を、普通「面白い」と表現する。でも、じゃあ、戦争で死んでいく人々を描く映画をみて面白かったと言うだろうか。なんか、それはなんかちがう。 interestingの方の面白いだと言ってしまえばそれはそうかもしれない。でも、この延々続いて多分出口のない、もう2度と人生で唯一と思えた命綱にアクセスできなくなって、自分では本当にどうしようもない、出口に到達しようのない地獄の中にいるこの子が、これからどうして生きていくのか、わからなすぎる。それがリアルに自分に重なってきて苦しい。私は同じような単推しはしていない。でも、人に宗教があり、人に崇拝する恋人があり、人に支えにする人生の指針があるように、人に推しがいるという場合がある。私の命綱はなんだったろう。 覚えのある感覚と、多分一生出られない地獄への共感。 面白くない。面白いという言葉を当てるのは適切ではない。でも、どこまでも面白い小説だった。としか、言いようがないこの感想を、どう飲み込めばいいのか、よくわからない。 えぐい。
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