
ユメ
@yumeticmode
2025年3月28日

世界でいちばん幸せな屋上
吉田篤弘,
吉田音
読み終わった
感想
今作での黒猫シンクは時を越えて〈おみやげ〉を持ち帰り、あるいは〈ミルリトン探偵局〉から〈おみやげ〉を持ち出す。時空を超えた物語の繋がりに、静かに魅せられた。なかでも「奏者II 予期せぬ出来事」で、ラヴェルの「ボレロ」クライマックス目前を演奏中のホルン奏者の脳裏に「世界でいちばん幸せな屋上」の光景が瞬くシーンは、なんだか泣きたくなった。とても美しい光に満ちていたうえ、自分の過去にある、音楽にまつわる幸せな光景がふとよみがえったからかもしれない。
巻末の解説で、吉田篤弘さんが音ちゃんのその後について語り、他の作品との繋がりを紐解いてくれているのも嬉しい。『針がとぶ』や『ソラシド』を読み返したくなったし、幻の三作目も楽しみだ。


