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@bunkobonsuki
2026年7月30日
電車の中や家の中、あるいは会社の休憩室。
人前で読むのは憚られる本というのは存在する。エロ本を公共の場で読むのに躊躇しない人はごくわずかだろう。
では、別にエロくもなければグロくもない、だけど読むのが憚られる本は存在するか——『生まれてよかったか? はじめての反出生主義』はそのような本だと思う。
その理由は「反出生主義」というワードにある。
反出生主義とついているだけで物々しい感じがする。人間の存在を認めない傲慢な思想・・・・・・反出生主義はそういう目で見られている。
だから人前で読むのに躊躇する(個人的には)。
実際は真逆だ。むしろ、人間の存在を尊く思うがゆえに誕生した思想が反出生主義なのだ。
時代が下って人権や倫理の論理が整備されると、「人(親)が人(子ども)を産み出すのは、産み出される側にとって理不尽なのでは?」という疑問が出てくるのは当然だろう。
ましてや、産み出された側(子ども)が不幸な状態にあれば、なおさらそうした声は出やすい。
この本はまさに産み出された側(子ども)に向けて書かれている。まるで高僧から教え諭されている感覚になる。読んでいて落ち着く。
本書は最後にブックガイドがあり、そこで反出生主義に関連する本を知れるのだが、ラインナップが広い。小説、エッセイなど、特に反出生主義を意識せず読んでいた本が並ぶ。
なにかと誤解されがちな思想、反出生主義。
本書は堂々と人前で読むものである(冒頭であんなことを書いたくせに)。



