
Yo
@otsuki
2026年7月31日
心臓の風化
藪内亮輔
読み終わった
詩は花束ではなく舌禍、夕に生る腐つた柿のうつくしい蔕
ごめんねごめんね言葉は殺せないだからあなたを銀杏にすることはできない
空をゆく鳥、雪がふり傘をさくあなた 心臓は風化しない
ひとづたひ輪郭のみに語られる死を(つまり詩を)聴いて芍薬
鞦韆はたれも乗らずに揺れてゐず風もふかずにこの世もあらず
コンビニの袋の耳を傘にかけ静かな雪の街を歩いた
顔の油に絡まつて死ぬ羽虫にも(突撃ーッ)といふ(突撃ーッ)がある
iPhoneを落として映る壁紙が床に真冬の海をひらいた
酔ふときは指の尖から痺れきて冷やしても冷やしてもぬるいストロング・ゼロ
最初からこの世は地獄 あきらめよ びたびたと魚のやうに降る雨
雨(ガンギマリ) 飛白(かすれ)つつふるあなたらを桜のやうだと思ふが言へず
コンドームさんと呼んだら怒られて0.01ミリの春の陽のなか
お茶の中うすく脂が浮いてゐて視界のぎりぎりに菊がある
原稿(ちんちん)を書いても書いても花になることにこんなに支へられるなんて
殺しますよと冗談をいふ時にくる夕暮れは雲、萼、火(ほむら)掠めて
