
ゆい
@no1sin
2026年7月31日
ロシア文学の教室
奈倉有里
読み終わった
> 「はい、それはこの小説の本質的なところであり、こういうタイプの小説の内包する問題でもあります。たとえばジャック・ロンドンの『ジョン・バーリコーン』という小説は、自身も子供のときから酒とつきあわざるをえなかったロンドンが酒との闘いを書いた作品で、禁酒キャンペーンにも利用されましたが、読めばどうしたって酒が飲みたくなる。ウィリアム・スタイロンの『見える暗闇』は鬱病を描いた自伝ですが、やはり読んでいるうちに一度は、自分のなかにある『鬱』に共鳴する要素を解き放ち、増幅させてみたいような気になってくる。人の陥る闇や苦悩や病にはどこか魅惑的なところがあり、作者がそれを内側からわかっていればいるほど、小説はその魅惑の部分もおおいに描きだしてしまうわけです。(P.173)
