
ユメ
@yume_bookworm
2026年7月22日
卒業生には向かない真実
ホリー・ジャクソン,
服部京子
読み終わった
感想
私の心の本棚には、「傑作であるし、心から読んでよかったと思うものの、辛すぎるから近い将来のうちにはとても読み返せそうにない本」を並べた一角がある。本書もその仲間入りをすることとなった。ピップとラヴィのコンビが大好きなだけに、この結末は本当に辛い。
ピップの取った行動は、倫理的に決して肯定はできない。その一方で、読者という安全圏の立場から私が彼女を否定するのも卑怯だという気がする。ピップはいちどはきちんと警察を頼った。だが、警察は動いてくれなかったのだ。三部作を通して、著者の警察や司法への不信感を強く感じたし、日本でもストーカー被害や性犯罪が軽く扱われがちな現実があることを思って暗澹たる気分になる。あとがきを読むに、どうやらイギリスでもその現実は変わらないらしい。私刑が横行しないためにも、司法が正しく機能することを切に望む。
本作では、冒頭からスタンリーの件でピップが精神的に追いつめられているのに胸が痛み、ボロボロな精神状態のまま自らに降りかかったストーカー事件を調査する彼女をハラハラと見守り、中盤からのミステリというよりクライム・サスペンスの方が相応しい急展開は泣きたいような気持ちで読んでいた。ストーリー展開も構成も本当に素晴らしかった、だが、決して見届けたかった結末ではなかった。ピップには何の曇りもなく幸せでいてほしかったから、本を閉じて、ひどく打ちのめされている。

