
ユメ
@yume_bookworm
2026年7月23日
受験生は謎解きに向かない
ホリー・ジャクソン,
服部京子
読み終わった
感想
『自由研究には向かない殺人』三部作の読者に対するファンサービスのような一冊。『自由研究には向かない殺人』の前日譚にあたり、ピップは友人であるコナーの家でいつもの仲間たちとマーダー・ミステリ・パーティーに参加する。『卒業生には向かない真実』を読み終えたあとだけに、ピップが溌剌としていること、ローレンやアントとまだ友人関係が保たれていることに、切ない気持ちになった。
架空の殺人事件の犯人当てゲームに対し、初めは乗り気でなかったピップだが、時代に推理にのめりこんでゆく姿は、三部作で描かれていた「とりつかれやすさ」の片鱗が見えてひやりともさせられるし、そんなところが愛おしくもある。
作中でのゲームの進行に伴い、プレイヤーであるピップに提示される手がかりが読者にも示されるので、ピップと一緒に推理を楽しむことができる構成となっているのが面白い。ピップが最後に披露した推理は、「法で裁かれない罪」という三部作のテーマとも重なるところが見事だし、結果としてその推理が外れた腑に落ちなさが『自由研究には向かない殺人』へのスムーズな導入となっているところも巧いと思った。
