masaya
@masaya
2026年8月1日
MIDNIGHT PIZZA CLUB 1st BLAZE LANGTANG VALLEY
上出遼平,
仲野太賀,
阿部裕介
読み終わった
旅を充実したものにするための鉄則は、一にも二にも早起きである。早い時間に動き始めることで、一日中焦らず行動できるし、天候が崩れるのは大体午後だから晴れている時間を有意義に使える。それより何より、朝というそれ自体が素晴らしい。
どこかで自分の安全を願ってくれている人がいることには大きな意味がある。私たちは他者の願いに応えたいと思う動物である。だから、誰か
の願いは力になる。心が折れそうになる時、もう一踏ん張りさせてくれるのは誰かの願いに他ならない。
自分が本当に欲しているものは、手に入れてみないとわからなかったりするから難しい。
私は阿部ちゃんのことを羨ましく思った。私だって、走り出したいな、飛び上がってみたいなと思ったのだ。
しかし、私はすっかり調教されてしまっていて、欲求と行動との間にいくつもの障壁が立てられている。まるで会社でボールペンを一本買うために上長のハンコリレーを進めていかなければならないようにナンセンスだ。走りたいと思ったら走れば良いのに、ハンコリレーをしているうちにその欲求は製み、すり減り、いつの間にか霧散してしまう。自分が自分で手に入れた、せっかくの欲求だったのに。阿部ちゃんはそのハードルを持ち合わせていない。やりたいと思ったら考える前に体が動いている。短兵急な男。やりたくないと思ったら頑なにやらない。すごく健康的だし、人生を正しく楽しんでいるように見える。
道には常に意味がある。
無意味に人間を迂回させる道は使われず、桁ちていく。
「あったらいいかも」をどれだけ削っていけるかが旅における腕の見せ所である。
しかし、頂上を踏まなければ帰れないような気持ちになっていた。素人が遭難する時の、典型的な心理状態だ。
完全に安全な場所はない。あらゆる土地に固有のリスクがあり、リスクの少ない土地には人間が集まり、人間が集まればそこには新たなリスクが生まれる。
ただ生きる。生き抜く。命を繋ぐ。それだけで素節らしい。もちろんそうだと思う。けれど私たちは飽き足らない。ご所に腰を据えて、身の国りの喜びだけを丁寧に享受する生き方を、私たちは知らない。だからどうしても、旅に出たくて仕方がない。
何一つとして、思い通りにことは運ばなかった。それでも、ままならなかった時間こそが、私たちの旅を私たちだけのものにしてくれる気がする。
