
オルソル
@heiwakinen
2025年3月30日

山と獣と肉と皮
繁延あづさ
かつて読んだ
「猟師のおじさん」と出会い「野生の肉」をもらうようになった著者は、やがて猟に同行し写真を撮りはじめる。生き物を殺し、加工し、食べる。それは本来、人間が生きるためには避けることができないはずの営みだ。しかし、いつしか私たちはその仕事を他者に委託し、殺生を隠蔽してしまった。死を遠ざけた社会では生の苛酷さを軽減できる。だがそれは同時に、生の切実さをも軽減してしまう。「食べ物があふれてる世の中で、こいつを殺して食べる理由が見つからない」という著者の息子の言葉は、命のやり取りを失った私たちの姿を率直にあらわしている。

