ren
@ren_grayscale
2026年8月1日
記憶屋(1)
織守きょうや
10年近くずっと読まずにいた積読本。
もっと早く読んでおけばよかったと後悔した。
各章繋がっているけれど、それぞれサブテーマとメッセージ性に溢れていてとても面白く読めた。
ミステリー、ホラー、恋愛、生と死について、
一括りにはできないほど内容の詰まった一冊だった。
1st. Episode ノーティスでは、
遼一の切ない恋心と杏子の抱える葛藤が大学生活というノスタルジーな世界の中で生々しく描かれていていた。舞台設定も含めて個人的に好みの章だった。
2nd. Episode ラスト•レターでは、
高原の人柄を生き生きと描きつつ、
人の死について、「記憶」という角度から死生観についても迫ったような非常に深みのある章だった。
旅立つ高原と残される外村それぞれの心境をお互いがわかり合いながら言葉にしたり、高原の死後の外村の行動の描写が凄まじく引き込まれた。
3rd. Episode コーリング•フォー•モラトリアムでは、
要と操の幼馴染というありふれた設定の中に、「記憶屋」というこの小説でしか描けない仕掛けを使うことで、要と操それぞれの心の深いところまで描写されていた。
大切な人のために、自分からその人の記憶を消すことは想像しただけでも辛いし、新しい愛のかたちを見せられた気がした。
4th. Episode ファースト•アンド•ラスト•コンタクトでは、前章までの伏線を回収しながら、ミステリーホラー小説の醍醐味に魅せられた。
謎が次々と明かされていくストーリー展開は刺激的でどこか爽快さすら感じられた。
それぞれの正義や価値観について、他者と分かりあうことの難しさ、正しさとは何かみたいなものを考えさせられる会話のやり取りも歯痒さを覚えるほど惹きつけられた。