
楡
@etemotust
2026年8月1日
ファーストラヴ
島本理生
読み終わった
自分の体や心にある傷があとかたもなくきれいさっぱりなくなることはない。それが起こり得ること、というよりも必然であることを実感として理解したのは最近だと思う。
ストーリーは被告・環菜の心情を追うものでありながらも、その過程で主人公・由紀自身も、傷と向き合い埋めていく構成で、重たいテーマでありながらも読みやすいドラマチックさになっているなと思った。
暴力を受けた者が陥る混乱と、じわじわと迫ってくる絶望が、ありありと感じられて、ひろく読まれてほしいなと思った。
迦葉・由紀・我聞の関係性がせつなく非現実的でうつくしいのもよかった。
以下、印象に残った引用。
「正直、兄貴のことはアホだと思ってたから、俺びっくりしちゃってさ。
こいつには敵わないかもしれないってそのとき思ったんだよ。でも敵わないのが嬉しかったんだよな。変かもしれないけど」
「大事だったけど、恋愛ではなかった。それがどれだけ特別なことかを伝えようと思っても、きっともう由紀は受け入れないだろう。それを聞いて僕は、君らがどれほどお互いを理解し合っていたかを悟った」