橘海月 "蝋燭は燃えているか" 2026年8月2日

橘海月
橘海月
@amaretto319
2026年8月2日
蝋燭は燃えているか
『星くずの殺人』続編。前回は宇宙、今回は京都を舞台とし、宇宙から帰還した周を描く。脱出ポッドからの生配信で炎上した周、それでも失踪した瞳子を見つけるためにコメント欄を閉じなかったが、誹謗中傷の中に不穏なメッセージが書かれた直後、実際に金閣寺が燃やされて…。 今回は京都を舞台に、周の内面が深く描かれている。インバウンドにあまりいい印象を持たない地元民の心境や、京都への不満はありつつ外部から言われると言い返したくなる複雑な思い。被害者ではなく加害者家族が置かれる厳しい状況や、その中でも恵まれた相手への嫉妬や取り残されたような感覚。やり切れなさが随所にある。 それにしても“恵まれている”と、そう思う感覚はどうしようもないなと感じた。途中に周がある人物に向けるそれは、そのまま周へと向けられ、また別の人物から別の人物へと向けられる。我々はよくないとわかっていても他者と比べてしまう生き物で、その時点で友人や仲間であったはずの彼らと距離が生じ、人はどこまでも孤独となってしまうのだと。
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