カササギ "雪の如く山の如く" 2026年8月2日

雪の如く山の如く
雪の如く山の如く
張天翼,
濱田麻矢
「雪山」は『北京文学』二〇二〇年第十一期に掲載 「年始の挨拶(拝年)」は単行本書き下ろし *…*…* 浅き川も深く渡れ ラスト二話を読んでいる間、ドラマの台詞で聞いたそのフレーズが頭から離れなかった。 始まりは滑らかに物語が進んでいき面白そう、人物にも共感できる、とグングン引き込まれるが、後半にあれっ?とつまずく瞬間が必ずやってくる。そして、世界は突然反転する。ひっくり返される。今までこれがこの小説の世界だと思って頭の中に築いていた世界が突然崩され、全く別の角度から物語を見るよう強制される、そんなラストの展開が毎回お見事。 簡単に渡れそうな川に見える、けれど実際にはそれほど簡単に渡らせてはもらえない、そんなstoryの詰め合わせだった。 そして、読み終わった後に余韻が残る 親しみを持って読んでいた登場人物は少し遠くに引いて本当の主役はこの人だったのだと知らされるような感じもある。その視点の移り変わりの妙というか、著者が人物に与える眼差しの濃淡というか、読みながら語り手の交代をなぜすんなり受け入れてしまうのかもよく分からないのだが、人物描写に魅力のある著者だと感じる。そして物語の構成の巧みさがある。読んだ後に誰かと語り合いたくなる良いテキスト。現代中国の現状をどれだけ反映しているのかは分からないし、想像するしかないけれど、このスピード感で翻訳されているなら注目の作家なのだと思われる。これからも読みたい、追っていきたい作家のひとりになった。
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