タケチ カツエ
@katsue
2026年8月2日
古本食堂 新装開店
原田ひ香
「古本食堂」の続巻が文庫化された。
「古本食堂」は知っているお店と本の組み合わせがとても良く、自分自身が神保町を散策している気分にさせてくれた。
今回も変わらない空気で楽しんだ。
中でも昭和56年の暮しの手帖の章はこころに残った。
昭和56年といえばわたしは16歳、毎日母の弁当を持っていった。
母はこの小説の母親とは違って、料理は大好きではなかったのだといまは思う。
冷凍食品のおかずではあったが、小さな家族経営の商店の主婦としては、忙しい毎日の中頑張って作ってくれたのだと思う。
時におかずが2種で、それが数日同じメニューで続くとき、疲れてるなら学食もあるからと言っても、絶対作って持たせた。
あれは母の意地だったのか。
わたしも35年家族と自分のために弁当を作り続けてきた。家族のために料理することは、わたしにとっては楽しみでもあったが、母にとってはどうだったのだろう。
ただ高3のとき、毎日果物が入るようになり、後に母に聞くと受験勉強頑張ってほしかったからと答えてくれた。
その母も今は物語の女性の母親と同じく認知症になり、施設で穏やかな日々を過ごしている。母のお弁当は一度も写真に撮ったことはない。母にお弁当のおかずのメニューを話したら、果たして思い出すのだろうか。
覚えてくれていることより、わたしが覚えていることが大切なのだと思う。