ぐれまめ "さみしい夜にはペンを持て" 2025年3月30日

ぐれまめ
ぐれまめ
@guremame
2025年3月30日
さみしい夜にはペンを持て
偶然だが、太宰治の「人間失格」と一緒に借りてきた。 「一人称を三人称に変えることで日記の自分が冒険の主人公になる」は、太宰が自身の生涯を作品に昇華した(文庫本の説明に書いてあった)「人間失格」と重なる部分があったし、 「書くことでひとりになる」は、人間に恐怖し道化を演じ続けるしかなかった葉蔵が手記を書き綴った理由とも言えるのかなと思ったりしながら読んだ。 そう捉えれば「人間失格」はまさに、「秘密の書きもの」であり「秘密の読みもの」のようである。 そして、時に太宰を神のように崇めがちな文豪好きの私たちも、日記を書くことでそうした自分だけの「秘密の書きもの」「秘密の読みもの」を生み出すことができる。 「自分だけの」というのがポイント。 「さみしい夜にはペンを持て」を読んだ私は、他の誰でもない自分自身に「分かってほしい」と思いながら、未来の自分に向けて書く。そして、未来の自分は今の自分を「分かろう」として読むだろう。 そうして自分という奥深きダンジョン、人生で最期まで付き纏う最大の謎を解き明かしていくロマン溢れる大冒険を、ノートとペンをもって毎晩突き進んでいく。 太宰もそうやって、自分の心を解き明かすダンジョンを冒険したのだろうか。
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