
香夜
@kayoino
2026年8月3日
グロテスク(下)
桐野夏生
読み終わった
[上]からずっと、質疑応答かのように主人公が話している文体だから、最終的にこの人は捕まるか入院でもして、誰かから事情聴取されてる想定なのかな?とか、色々推理していたが、外れた。
事件の犯人もなんとなく示唆されただけでわからないままモヤ〜っと終わった。
ユリコや和恵の手記や、ミチルが率直に物申すシーンなどで、主人公がいかに「信頼できない語り手」だったかが暴かれる。
努力じゃどうしようもない待遇の差、埋まらない自己肯定感など、目を背けたくなることばかりが描かれている。それこそグロテスク。
でも、天才的美貌を持つユリコや、努力の天才のミチルのように、一時的に若い頃チヤホヤされても、その美貌は失われていくものだし、努力の結果が幸せなものとも限らなくて。
わたしたちは何のために努力して、何に期待して生きているんだろう?と。結局、他人から評価されるためにやるものって自分を幸せにするものじゃないんだよね。とか思った。
そして、それぞれの登場人物に醜いところがたくさんあるけど、なんだかそれも(一歩引き気味ではあるけど、)少し愛しい気もした。
みんな心の中に自分の「グロテスク」を持っているのかもしれない。