プールに降る雨 "人間の条件" 2026年8月4日

人間の条件
人間の条件
ハンナ・アレント,
牧野雅彦
プラトンからキリスト教、デカルト、ガリレオ、ヘーゲル、ニーチェ、マルクスなどの思想・研究を参照、ときに批判しつつ、人間の活動を「労働・仕事・行為」の三種類に分類して人類史を分析する射程の広い本書は、訳者によると後年展開されるアレントの主要な論点が集約されているという。 歴史の大まかな流れを踏まえたうえで「労働・仕事・行為」の三種類に分けるアレントの視点を借りると、現在自分が置かれている状況や生きづらさ(めちゃくちゃ働きたくない等)を相対化できて多少楽になる。 このように視界に補助線があらわれ、世界を新たな文脈で眺められる体験を求めて読書しているとのだということを再確認した。 アレントの知識と知性が言葉となって押し寄せる文体は樹海を彷徨うようで、これ何の話だっけ?と、しばしば自分の所在地を見失う。先に適当な入門書を読むか、少なくとも本書の要点が非常に簡潔にまとめられている巻末の訳者改題を読んだほうがいい(わかっていても読まないのだけど)。 じっくり読むと逆に迷子になる気がして全体に網をかけるようにざっと読んだこともあり、間違いなくうわべしか理解できていない。ここで触れられた論点を伏線としてこれからほかのアレントの著作を読んでから再読したい。そのような意味では、はじめてのアレントが本書で良かったのかもしれない。 なお、本書で取り扱われているのはあくまでも西洋思想史に限定されていることに留意する必要はある。世界って西洋だけじゃないから。 “彼が行為者、なされたことの本当の実行者になることができるのは、彼が同時に言葉を語る者である場合だけである”p.326
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