
ぐーぐー
@guuuma_
2026年8月6日
コーヒーにミルクを入れるような愛
くどうれいん
読んでる
「この仕事の自由さのことを考えると夜空が真っ黒犬ののようにわたしに巻き付いてきて、玄関までの足取りはどんどん重くなる。そうして静かに玄関を開けると、明日も仕事のミドリはとっくに眠っている。(ごめん)と思いながら靴を脱ぎ、(ごめん)と思いながら水をごくごく飲み、(ごめん)と思いながら顔を洗うとき、この(ごめん)はミドリに言っているのか自分に言っているのかわからなくなる。」p.91
「三階に戻るエレベーターの中で『どうして高いところが苦手なの?さっき大丈夫そうだったけど』と尋ねると、『飛び降りたくなっちゃうからね』とミドリは笑った。」p.96
「はだかの女たちが、はだかで海に沈む夕陽をなにも言わずに眺めている。その光景のうつくしさに、わたしの細胞すべてがどうしてよいかわからず狼狽えているようだった。きっと男湯でも同じように、みんなで静かに夕陽を眺めているのだろう、と想像がついた。」p.103
「母親に抱きかかえられた幼い子も、まだ膨らんでいない胸の女の子も、私と同じくらいの年のお姉さんも、子どもを連れた中年女性も、しわくちゃの老婦人も、みなとても凛々しい顔をしていた。それぞれの人生がすこしでも幸せであってほしいと込み上げるようにそう思い、それと同時に、わたしのいままでのすべてのからだとこれからのからだが壮大に祝福された心地がした。」p.104
「そう、見ていないのだ。見ていないし、透けてもいない。見透かされていると思うとき、わたしはAさんのことを本当にちゃんと見ていたのだろうか。」p.119
