
本16
@hakusai_467
2025年3月31日

最後のトリック
深水黎一郎
読み終わった
ネタバレあり
二日ほどかけて半分ほど読み進めた後、一気に読了した。
以下、ネタバレを交えた感想。
帯にある通り、読者が犯人だった。
私もまた、彼を殺してしまった一人にすぎない。
この物語のジャンルを表すなら、モキュメンタリーミステリーとでも言うべきだろうか。
一人の男の人生が、とても切なく、苦しく、それでもようやく小さな幸せをつかんだのに——そのやるせなさが胸を締めつける。どうにもならなかったのだろうか、という思いが残る。
「死んでしまったら何も残らない」とはよく言うが、それは綺麗事だ。むしろ、死んだからこそ大金が残るという皮肉が突きつけられる。
奥さんは、それでもあなたと子供を育てたかったのではないか。そんなことを、奥さんの目線で少し考えてしまった。
超能力の話は、ここまでの布石だったのだな。
あまりにも長々と語られるので途中流し読みしてしまい、また読み直す、ということを繰り返した。だが、全体的にはとても楽しく読むことができた。
……まあ、私、犯人なんですけども。