
てと
@teto_zzz
2026年8月7日
羊と鋼の森
宮下奈都
読み終わった
感想
最高の本だった。
話の中に頻繁に出てくる比喩のおかげで、読んでいてずっと気持ちがいい。
この本を読んでいると想像の海に飛び込まされる感覚になって、心の波が二段階くらい落ち着く。
話の中でもあったけれど、確かにピアノの調律は無数にある中からひとつの音を定める作業で、それは空に並ぶ星からなる星座のようで、心の中に浮かぶ様々な感情を紡ぐ言葉と同じでもあるんだよな。
しかも音から印象を受ける人間は、それぞれがそれぞれで違う人生を生きていて、経験も価値観も全く違う。
だからこそそこに面白さがあるんだなと感じた。比喩も、ピアノも。
主人公の外村くんは自分の調律の才能を疑っていたけれど、そんなことはないよなと思いながら読んでた。
これだけ自分の中の感情や、音から情景を描写する力に長けている人に調律という仕事が向いていないわけないなと思う。
先輩の柳さんもいい人で、外村くんとの掛け合いに安心感が常にあるから読んでて心地よかった。
比喩が多いのは職業柄の気もする。
外村くんは「柳さんの話は比喩が多い」と言っていたけれど、正直こちらから見たら外村くんもそれ以上に多い。
そう感じるのは、外村くんと柳さんの歩んできた人生がそれだけ違うっていうことなんだろうか。
比喩はある事象を自分専用の言語に翻訳するものだと思うし、歩んできた道筋が違えば違うほどわからないものになるだろうから。
話の中に出てくる表現がどれも気持ち良すぎて、メモを取っていたが多くなりすぎてしまった。
一文だけ。
>だけど、調律の技術を言葉に換える作業は、流れていってしまう音楽をつなぎとめておくことだ。自分の身につけようとしている技術を、虫ピンで身体にひとつひとつ刺していくことだと思う。
今、僕もこうやって虫ピンを身体に刺してます。



