くりこ "肉は美し" 2026年8月7日

くりこ
くりこ
@kurikomone
2026年8月7日
肉は美し
肉は美し
アグスティナ・バステリカ,
宮崎真紀
動物に致死性ウイルスが広がり、あらゆる動物が殺戮され、人を「肉食用」として飼育し屠殺する未来の話。このウイルスの流通というのは、政府のでっちあげだという説もある。人を屠殺することが当たり前になることにより、都合の悪い人間を殺したり、人口のコントロールをすることが目的だという。 屠殺用の人間の声帯をあらかじめ取ったり、ハンストする肉たちの手足を切ったり、殺される人たちが抵抗するシーンはかなりエグい。また、人体実験や、人間への狩猟ゲームも横行していて、<頭(肉食用人間)>への扱いに狂気を感じる。しかし、現代の世界に目を向けてみたら、動物たちには同じことをすでに行っているのだ。また、このように人を非人間化して殺すことは、(もちろん食肉用ではないが)、今でも日常的に行われていることである。 人肉工場で働く主人公の男性はとても優しい。老人ホームに入っている父を心配し、頻繁に見舞いに行く。安楽死させられた二匹のペットの犬たちとの思い出を大事に生きる。殺害を逃れ、街を徘徊する犬たちに同情の目を向ける。 主人公は、食肉用に買っていたメスに思い入れを抱き、体をきれいに洗ってやる。そこから彼はタブーを踏み越え「ジャスミン」と名付けたメスとの共同生活が始まる。子供を失った彼はメスとセックスし子供をもうけ、慈しみ深く世話をする。ジャスミンとの幸せそうな暮らしと、<頭>たちへの非人道的な扱いが、交互に書かれることで、より主人公の優しさが浮き彫りとなる。 このまま子供と三人で幸せになるのだろうか?と一瞬思うのだが、結局彼がしていることは「管理」にすぎないということがラストで明らかになる 。 心優しい人でも、非人道的行為が横行した世界では、残虐さに染められてしまうのだろうか。この小説を読んでから、昔飼っていたメダカが繁殖しすぎて、人にあげてもあげても増え続けて困ったことを思い出した。結局わたしは、あんなにかわいがっていたメダカを、面倒に思って世話をしなくなり、メダカは皆死んだのだった。
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