
Haruhito
@haruhito27_reads
2026年8月7日

仮面の告白
三島由紀夫
読み終わった
恥ずかしながら、三島の小説をはじめて読んだ。文章の上手な作家の筆頭にあげられるだけあってか、緻密な描写とそれを表現する比喩や語彙表現の豊かさ、難解ながら流れるような文章のリズム、イメージを喚起する行間のとり方などに技巧的な上手さを感じた。ただ、浅学な私には難しく、一読して理解できた範囲はたかがしれているだろう。
三島の半自叙伝的小説であり、『仮面の告白』というタイトルが示す通りに、自分の内なる性質を詳らかにしていく内容である。雪の朝に近江と遭遇し、事件的に自分の性的嗜好を確信する主人公。同性愛の心情や情欲を正直に吐露する一方、園子との純情な異性愛を配することで、翻って同性愛の後ろ暗さ、仮面の告白の臨場感を強調する。光が影を濃くし、影が光の存在を意識させるように二元論の逆説が効いている。これは三島の作風の特徴の一つらしいので、今後も彼の小説を読んでいきながら確かめてみたい。

