
Old Sport
@scott_fitzgerald
2026年8月3日
デイジー・ミラー
ヘンリー・ジェイムズ,
小川高義
読み終わった
⭐︎⭐︎⭐︎★
アメリカ人青年ウィンターボーンがスイスのホテルでアメリカ人美女デイジーミラーに恋をする。古城でデートをし、イタリアで再会をする約束をしたが、再会した時にはすでに彼女にはイタリア人の婚約者らしき男がいた。ウィンターボーンは彼女を彼から引き剥がそうとするが、彼女は彼に連れられローマの夜を徘徊したことにより、熱病に冒され、命を落とす、という物語。
ストーリーとしての面白さは少し欠けると思うが、彼の文体には多少なりとも惹かれた。個人の意見として、文豪であることの条件に、普通であることを如何に読者の想像を掻き立てさせながら描くことができるか、があると思う。ヘンリージェイムズはそれに関しては一級品だと思う。情景描写もさることながら、人物描写と心理描写が素晴らしい。ストーリーは個人的にイマイチだったが、文体だけで1日で一気読みしてしまった。他の作品も気になるところだ。
今、序文を読んでいるが、本人が「扱おうとする題材は、ほとんど取るに足らず、一見して低俗でもある。この小品は話の展開で読ませようとするものではない、というより遠慮も会釈もなく詩であろうとしている。」と述べているように、やはり特にストーリー性にこだわって書かれた作品ではなさそうだ。
文中(p127)に、「帝政時代の城壁が迫る一隅で、糸杉の下に咲く春の花々に埋もれることになった」とあるが、この春の花々がデイジーのことなのだろうか。