ひとぐら "反出生主義入門" 2026年8月8日

反出生主義入門
極論的、感傷的にすぎる。分析哲学への批判を流儀の違いとして倫理的ではないと著者はしているが、著者のアプローチが分析哲学的とは(本書で紹介されるベネターの論理構造との差異を鑑みても)あんまり感じられない。ベネターが永遠の相の視点から語ることを求めるのは分析哲学的なテーゼとして反出生を掲げている以上当然のことだし、そうであるからこそ反駁がしづらいものになっているのではないか。そこに対して軽めに毒づいているのは一体何なのか。また血縁に対する検討もしないままに子供を社会全体のリソース、配分されるべきパイのように捉えて孤児を捨てられているパイ、養子を配分されるべきものとして捉えているのも些か性急だと感じた。生理的な面を棚上げしていることに自己批判の目を向けることは(本当に)とても良いことだと思うが、そこで感傷に浸る前にもっと考慮すべき事柄があると思う。それをしないのにもかかわらず客観的な目線、永遠の相を考えるベネターに毒づくのは、個人的にはあまり好みではない。
読書のSNS&記録アプリ
hero-image
詳しく見る
©fuzkue 2025, All rights reserved