永倉あんず "増補版 ガザとは何か" 2026年8月8日

増補版 ガザとは何か
これまでの感想とほぼ変わらないため感想の大部分を省略する。悪い意味で非常に疲れる本であった。 ハマスがきっかけだのイスラエルがどうだのではなくそれ以前のヨーロッパにおけるユダヤ人差別から検証していくべき話であり筆者もそう述べている点には同意する。 一方、「ガザがどんなに悲惨か」「イスラエルはどんなに酷いか」「主要国がどんなにいい加減か」の話に留まり、重複も多く、感情の発露が大きいため入門書としての適性は怪しいと感じた。 以前のポストの「ハマスの戦争犯罪への検証が甘い」に関しては結局感想が覆ることはなかった。 「抵抗権は認められており彼らは選択を誤ったに過ぎず、ゆえに祖国奪還への抵抗は当然である」のようなループ論法で、この部分だけ非常に情報の粒度が粗い。 イスラエルの軍事行動を検証する場合と同じ物差しで検証すべきであると感じる。 また、「日本はアイヌや沖縄に今も文化的ジェノサイドを振るっている」という箇所について。 江戸時代まで話を遡っている点から、筆者のジェノサイドの定義は過去に遡及されるものであると認識した。 筆者は九州東北は「文化的ジェノサイドが完了した土地」と考えるのか。では筆者は「日本」という国そのものに対しどのような思想を持つのか。それは海外のあらゆる国、地域に対しても適用されるのではないか。そうでないならば、本書内の「ジェノサイド」の定義が曖昧すぎる。 考えないこと、中立でいること、「誤った疑問」を抱くことを批判するのであればこのような点は最低限埋めて欲しいと考える。 いずれにせよ、かなり一面的な本であると感じた。本屋が売りたい理由、ベストセラーになる理由共に疑問である。
読書のSNS&記録アプリ
hero-image
詳しく見る
©fuzkue 2025, All rights reserved