

永倉あんず
@Anzngkr
顔色と体調と人当たりが悪い
- 2026年8月10日
銀の匙中勘助読み終わった東京下町の文化を、繊細で病弱で面倒臭い子供の目線から描写された前編がとてもよかった。調べながら読むと楽しい。 じぶんがびりっけつだと知って大泣きしてひとつずつ巻き返した主人公は肉体的には強くなったが、その一方で内面的には繊細なままである点も良かった。 何かあればすぐにへこたれてしまっていた子供にとって、度が過ぎる程お人好しの伯母さんは世界を作ってくれた人で、その伯母さんとの再会(後篇16~17)は涙無しで読めなかった。 自分にとっての伯母さんみたいな人は祖母である。近距離に住んでいないから、近々時間を取って会いに行くことにしよう。 - 2026年8月8日
増補版 ガザとは何か岡真理読み終わったこれまでの感想とほぼ変わらないため感想の大部分を省略する。悪い意味で非常に疲れる本であった。 ハマスがきっかけだのイスラエルがどうだのではなくそれ以前のヨーロッパにおけるユダヤ人差別から検証していくべき話であり筆者もそう述べている点には同意する。 一方、「ガザがどんなに悲惨か」「イスラエルはどんなに酷いか」「主要国がどんなにいい加減か」の話に留まり、重複も多く、感情の発露が大きいため入門書としての適性は怪しいと感じた。 以前のポストの「ハマスの戦争犯罪への検証が甘い」に関しては結局感想が覆ることはなかった。 「抵抗権は認められており彼らは選択を誤ったに過ぎず、ゆえに祖国奪還への抵抗は当然である」のようなループ論法で、この部分だけ非常に情報の粒度が粗い。 イスラエルの軍事行動を検証する場合と同じ物差しで検証すべきであると感じる。 また、「日本はアイヌや沖縄に今も文化的ジェノサイドを振るっている」という箇所について。 江戸時代まで話を遡っている点から、筆者のジェノサイドの定義は過去に遡及されるものであると認識した。 筆者は九州東北は「文化的ジェノサイドが完了した土地」と考えるのか。では筆者は「日本」という国そのものに対しどのような思想を持つのか。それは海外のあらゆる国、地域に対しても適用されるのではないか。そうでないならば、本書内の「ジェノサイド」の定義が曖昧すぎる。 考えないこと、中立でいること、「誤った疑問」を抱くことを批判するのであればこのような点は最低限埋めて欲しいと考える。 いずれにせよ、かなり一面的な本であると感じた。本屋が売りたい理由、ベストセラーになる理由共に疑問である。 - 2026年7月13日
増補版 ガザとは何か岡真理読んでる100ページまで読んだ。 『ハマスのやったことは戦争犯罪だが、それ以上にイスラエルの行動が非人道的である』『歴史的文脈を踏まえるとハマスの攻撃は祖国奪還である』という感じで読み取っているが、これが理屈として成立するのかとちょっと首を捻ってしまった。 ちょっと前段まで国際法を犯してパレスチナを占領したイスラエルを糾弾していなかったか? そもそもテロ行為は等しく断じられるべきであるが、ハマス側の攻撃への批判や検証は不十分だ(厳しく批判すべきと書いてあるのみである)。情報のバランスに偏りがあるように思う。 また、セミナーという形式の特性上、著者の感情が文面に強く滲み出ている点は先の感想に書いた通りであり、また先の感想に書いたようにフラットで中立的な解説を期待して購入したので、感情的な扇動を強く感じる点が残念で、読み進めづらい。 読者がこういった疑問を持たない場合、情報収集に偏りが生じる可能性がある。実際、既にこの本を叩き棒にしているような感想は複数見たことがある。 判断できないから保留 という姿勢を厳しく糾弾していたが、相対的に/絶対的にイスラエルが悪いという話がしたいのか? よく分からない。もう少し読み進めた方が良さそうだ。 個人的に気になっているのは、国際法上の『ジェノサイド』の定義をこの著者がどこまで適用するかである。 ジェノサイド条約を過去の事象にも訴求するのであれば、北海道開拓/琉球王国の併合どころか果ては平安時代の蝦夷/隼人の征伐まで遡ることになってしまうだろうが、どういう定義をしているのだろう。初手で提示されていないので気になる。 - 2026年7月12日
増補版 ガザとは何か岡真理読んでる本件に関する書き手の評価を知りたいのではなく、発生した事象そのものを理解したい目的で読んでいる。 一面的に見て理解できる事象ではない認識のため、導入部分が些か中立さを欠くように見え、やや憂慮した。 しかしながら公演が書き起こされた部分について、現時点ではある程度事実を述べているように見える(イスラエル建国経緯にも触れられている)ため、期待した読書経験になって欲しい。 結論ありきで読むと叩き棒にも聖書にも陰謀論にもなりそうな話題なので、なるべく感情的にならないように、発生した事実が拾えるように読みたい。 - 2026年7月6日
読み終わった終盤までタイトルの意味が分からずいたが、最後のアンケート部分で全て回収されてちょっと感動した。 録音データの書き起こしはミスリードを招く内容が多く、特に2人目の話し手が大部分を省略して"終了"したので5人目の話し手が状況を詳細に話すまで構造に気付かなかった。 結局、誰が木に『杏の自殺の関係者が死にますように』と願ったのだろう。杏の幽霊ということなのだろうか(時系列的に、オカ研組が杏を見たのは杏の死後のため)。 ではなぜ警察官は死んでいないのだろう。冷やかし目的でないから? ……等等、色々分からない部分が多かった。それを狙って余白を多くしているのかもしれないと思う。 また、この"アンケート"が読み手を連鎖に巻き込んでくる系なのか微妙に読み取れず。 さて、本作品、アンケート部分でネタバラシがあるタイプの話で、拡張子からして発話箇所は全て音声データなんだけど、どうやって映像化するんでしょうね。 「近畿地方」も主要登場人物が追加されていたし、大部分が原作と違うものになるのかな。 - 2026年7月6日
- 2026年5月27日
読み終わった感想見知らぬ高校球児のバックグラウンドをピックアップして、いい話風に放送する某番組が嫌いだ。 それを真に受けて、会う度に「あの子はどんな子で、こんなに頑張っていて」という話を永遠にする知人と会うのが億劫になる。 「似たようなエピソードは誰でも持っているだろ」「今目の前にいる私がどういう人で、お前のその話を聞くためにどう頑張っているかも知らないくせに?」「推し活的で消費的だ」「そこまでその人は一貫性ないだろう」とか「キャラの固定化から外れたら掌を返して大いに叩くくせに」と、"よくある反感"を感じていたからだ。 それを極めて整理して書いている本であった。 2-5章については、結局結論はなんなんだ? と感じたが、まだ十分に検討されていない内容なのだろうとも感じた。 上記のようにひとつの解を求める点からして、自分は悪い意味で極めて「パズル的」である。 考察を冷笑しながら、キャラクターの過去と現在の行動を根拠なく結びつけ、自分の経験も踏まえてそれっぽい結論を下し、SNSで描き散らかしている。 過去の登場人物の言動を結びつける作業は"伏線回収"のようで、書き手が明確に描写しない以上単なる憶測でしかない。 ひとつの"お気持ち"をただ結びつけただけの粗雑なものを"考察"としてお出しすることを冷笑しつつ、やっていることはせいぜい考察どまりである。 またメンタルが不安定になるとうっかり陰謀論に片足を突っ込みかける(強い嫌悪感でギリギリ立ち戻ることはできている)。 おもちゃ的に生きることは難しいだろうが、おもちゃ的な生き方を少し取り入れた方が、おそらく人生は楽しいだろう。 - 2026年3月1日
「性格が悪い」とはどういうことか小塩真司読み終わった感想「結婚したら相手が豹変した」はどれに当たるのだろうな、と考えた。サイコパシーとかマキャベリアニズムが近いのかな。 神経症との関連は言及されているが、生育環境や先天性の障害などについてはほぼ言及されていない。 本書の記載に則るならば私は過敏型のナルシシズムやサイコパシーの傾向がほんの少しあり、スパイト(自分が損をしてでも相手に損害を与えたい)傾向は大いに強いが、これらが生育環境によるものか先天性の発達の問題によるものか、はたまた「そういう性格」なのかは分からない。物心ついた時から他人にあまり興味がなく、"キレやすい"餓鬼ではあった。 しかしながら精神疾患を患ってからこの傾向は徐々に大きくなっている。元々この要素を含んでいるのか、ただの精神疾患なのか、自分でも判別がつかない。 この厄介な性格を「悪い」もの、「ダークな」ものと切り捨てるのではなく、上手く転がして生きていける日が来ると良いと感じた。 - 2026年2月14日
読み終わった感想実際に紹介のある楽曲を複数鑑賞しながら読んだのでかなり時間がかかった。 筆者が言ってるほど感受性ベースの話ではなく、やっぱりある程度情報と知識がないとクラシックは楽しめないものだよなと感じる内容。 たとえば私はエレクトーンをやっていたため、同世代一般よりかなりクラシックに触れる機会が多かったし、実際エレクトーン用に編曲したことが何度かあるのだが、選曲基準は「派手でかっこいいかどうか」であった。 当時の私にとって「派手でかっこいい」の最たるものがチャイコフスキー『交響曲第4番第4楽章』であるが、これはチャイコフスキーの私生活がまったく上手くいっていない時期に作曲された作品である。 実際、チャイコフスキーがパトロンに宛てた第4楽章についての手紙を読んで聴くのと読まずに聴くのでは印象が全く違う。これを「情報を聴いている」とするのは果たして正しいのか。 実際本書でも背景情報にかなり紙面を割いているように見えるので、「音だけを聴く」ことの限界はあるのだと思う。 それはさておき、紹介された作曲家の生まれ育った土地や人生なんかの背景、筆者の思い出をもとに曲を聞くのはよかった。 - 2026年2月1日
侏儒の言葉・西方の人芥川龍之介読み終わった感想侏儒の言葉について。 芥川らしい、気が利いた文章であり、"読みやすい"部類に入る。 どことなく"名言"っぽいのである。 しかしながら"名言集"っぽさから抜け出せず、晩年の精神状態等の影響を感じざるを得ない。 内容について共感するところもあるが、それは己が捻くれていて病んでいるからであると思う。 また、わかっているつもりをすること自体が"わかっていない"証左であると思う。 芥川の置かれた時代や立場、精神状態などを考慮しながら読むものであり、現代の政治・経済、マスコミ、男女論なんかと被せて読むとただポピュリズムを増長させるのみであるため余り人に勧めたいとは思わない。 せいぜい『いつの時代も病んでいる人間が考えることは似通っているため共感を得やすい』程度に思っておいた方が良い。 西方の人について 先ずキリスト教に関する知識が殆どないため、芥川が真に訴える内容を受け止めることはできていない。 「人の子」たるイエスに思いを馳せる内容であるとともに、おのれが「神たらんとして」人の子どころか侏儒に堕ちたことと重ねているように感じたが、解説まで読まないとその構造が理解できなかった。 - 2026年1月24日
日本漢字全史沖森卓也読み終わった漢字に興味あるから読んでみよう、のような軽い気持ちで読むと割と挫折するレベル感であった。 日本語学や音韻、日本史を含む東アジア史などへのある程度の知識を前提としているように感じた。 浅学のため調べながら読んだので読了まで時間がかなりかかった。 大政奉還以降、漢字の扱いが大きく変化したように見えた。 整理されることそのものは悪いと思わないが、それに伴い廃止論が出るというのは、現在漢字と仮名を使い分けて生活している人間としては不便でしかないように感じられた。 言葉は生き物であるという。その側面は大いにあると考えるが、制度により変質させられている面もあるのだろうと思う。 - 2025年5月25日
文豪たちの悪口本彩図社文芸部読み終わった率直に言ってしまえば「読まなければよかった」。 もう少し丁寧に言えば「いい大人がみっともない」という感想。 当時の文学は好きだが誰と揉めて誰を敵視していてなんて話には辟易するきらいがある。 しかしこんな感想は所詮キレイゴトに過ぎない。 表紙の悪口は前後関係の無い切り抜きなのでより強く見えるが特に「刺す」なぞは本文と混ぜると味が薄くなりますね。 あの文章は全編通して味が濃いので。 - 2025年2月15日
ネット怪談の民俗学廣田龍平読み終わった夜中にトイレに起きた時の自宅の『リミナルスペース』感、あるよな~。 オチが『因習』系のミステリ風の小説、なんかヤなんだよな~。 とか考えながら読んでた(もう少し突っ込んだ話がされています)。 一般向けの新書なのに巻末の文献欄すごい。20ページ以上あった。 - 2025年1月19日
超約版 方丈記城島明彦,鴨長明読み終わった原文が短く、現代語訳も平易な文章だったのでサクッと読めました。 災害記録の前半に注目されがちですが、後半はミニマリストの先駆けのような内容が続きこちらも面白いです。 巻末に原文も掲載されているので古文に親しむ出発点としていい本だなと感じました。 - 2025年1月19日
河童/或阿呆の一生改版芥川龍之介読み終わった高校生の時、電子辞書に純文学小説が収録されているのを見つけてよく授業中に隠れて読んでいました特に芥川は短編が多くて授業中に読み終えられるので沢山読んだ。 先生にバレて名指しで当てられて答えられなかったこともしばしば…先生すまんかった。そんな思い出。 - 2023年10月9日
火のないところに煙は芦沢央読み終わった最後まで読んでちょっと分かりかけた気がしたけど、ちょっと怖すぎるのでやめることにした。 それにしたって5話目、エピソードパートがあまりにも怖すぎないか。 賃貸住まいが長いこともあって建造物系の怖い話を好き好んで読んでは怖がっている節があるのだが、本気でしばらく引きずりそうなのは小池真理子氏の『追いつめられて』以来かもしれない。 小花柄のチュニックを着た目が笑ってないおばさんのことは絶対に疑わないことにします。 - 2023年10月9日
裁判官の爆笑お言葉集古川斉昭,長嶺超輝読み終わったまず全然爆笑ではなくて、事件の内容がそもそも爆笑に値しないものまで含まれているので、釣りタイトルにしたって酷すぎると感じた。 筆者の当時の年齢は私と同じぐらいであって、そういう属性の人から出てくる感想としては(初版2007年という古い本で価値観が今と違う可能性を含めても)まあまあ気持ち悪い性別観であったり、そこじゃない感のある論点で語っていたり、そういう点からかなり読むのがしんどかった。 裁判官の苦悩たるや……等々、取り上げられる事件の内容やコメント自体には考えさせられるものが多かったけれども、結局それを筆者のコメントが台無しにしているというか、私には合わない考え方だわというのが感想として前面に出てきてしまう。 総括すると、絶対にタイトルはそれじゃないよね、ということだ。 - 2023年8月6日
骨灰冲方丁読み終わった序盤が大層怖かったのだが、祟られて以降は期待していたホラーじゃなくて、それでも違う意味で怖かった。 咲恵ちゃんが年齢より幼い気がしたけど気のせいなのだろうか。 松永の子供がえりや最後に荒木に憑いてたアレも含む幼子の言葉づかいがなんだかすごく幼くて、それはそれでなんか異質で怖いなと思ったのでした。 - 2023年2月26日
屍人荘の殺人今村昌弘読み終わったトリックはシンプル、情報が殆ど与えられている状況なので読み解きやすく、『ゾンビ物のゾンビはどうして人間を嗅ぎつける能力があって、食べもしないのに齧るのか』などという私がずっと謎に思っていた部分まで説明があり、知的好奇心探求も探偵ごっこもできてよかった。 人の気持ちに寄り添えない人間なので、最後まで2択の予想の決着はつかなかったし、主人公の地雷に全く共感できなかったために終盤はモヤモヤした。 この手の話を読む時にいつも思うのは、『犯人が一見大人しい女性だった場合、どうしてテンプレのように猟奇的に笑みを浮かべて豹変するのか、またそのような大人しい女性が犯人に持ってこられがちなのか』で、別に観測数が多いわけではないのだが、女性が犯人の場合ヒステリックな人よりそのような人の方が目立つように感じてしまう。 剣崎さんがたいへん理知的なのに『そうならざるを得なかった普通の女の子』でよかった。 - 2023年1月29日
シーソーモンスター伊坂幸太郎読み終わったスピンモンスター デジタル化の脆弱性が実例をもって証明された後にアナログ化が進む設定が面白かった。 私は仕事柄、デジタル化を推進したい方の立場にいるが、一概に笑って否定できる話ではないと感じた。 そして今産まれた子供たちは大人になる頃にオツベルと象なんか知らない可能性がある。 シーソーモンスター 天敵のような存在、というものは冷静であるべき人の冷静さを奪うのだなあ。 実生活でも身に覚えがある。 嫁姑のトラブルは思った以上に壮大な裏話があったものの、最終的に上手く着地できてよかった。
読み込み中...