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2026年8月8日

怠惰の美徳 (中公文庫)
梅崎春生
「私はつくつく法師という蟬が好きだ。あの啼声には、格別の趣きがある。
ツクツクホーシ、ツクツクホーシと、十声ばかり啼き、そこでちょっと調子を変えて、ツクツクウィー、ウイオース、ウィオース、と三四度啼き、最後に、ジー、と啼きおさめる。あのジーというきりは、自然にして、かつ千鈞の重みがある。油蝉や蜩の啼声とは、比較にならない。
ツクツクホーシと啼き始める前にも、ジーといったような、一種の前奏がつく。その前奏と、きりのジーとが相呼応して、すばらしい効果を上げるのである。起承転結、間然するところがない。
小説の書き出しやきりについても、こうありたいものだ。
つくつく法師なんかと、莫迦にせずに、心を虚しくして、その自然さを学ぶべきである。」
——「法師蝉に学ぶ」
という一文を蝉の声に溢れた緑地のベンチで読んだんだけど、つくつく法師の啼声は聞こえてこなかった。つくつく法師が啼きはじめるのってもう少し後になってからなんだっけ。今年は意識してその「格別の趣きがある」という啼声を聞いてみたいと思ってみている。









