
イツキ
@maruitsuki
2026年8月8日
マイボディ・オン・ザ・ムーン 下
矢野アロウ
読み終わった
後半になるほど、科学設定のリアリティの粗さが気になった。
まず、ATPを2倍生成できるという設定を便利に使いすぎている。そもそも、この設定が「同じ量の栄養から2倍のATPを得られる」のか「単位時間あたり2倍の速度でATPを作れる」のどちらなのか。おそらく後者なのだろうが、ここはハッキリさせておいたほうが良いと思った。
次にL*細胞周りの設定。ネタバレになるので詳しくは話せないが、質量保存則はどこいった?
ほかにも気になったことがあるがそれもネタバレになるので伏せておく。
もちろんSFである以上、現実の科学ですべてを説明できる必要はない。未知の生命体なのだから、現代科学では説明できない性質を持っていても構わないと思う。むしろ、その飛躍こそSFの楽しさでもある。ただ本作は、ALSや神経細胞、アストロサイト、ATP、麻酔薬など現実の科学をかなり具体的に利用している。そのため、科学的な説明を付けるなら、もう一段だけ理屈を詰めてほしかった。逆に「未知の異星生物だから現代科学では説明不能」としてしまったほうが、納得しやすかった部分さえある。
あと、回収されていない伏線もあったりするので、おそらく続編があると考えているが、これで続編がなかったら、ちょっと……という締め方だった。

