
M市のR氏
@aoi-honmimi
2026年8月8日
読み終わった
─笛を鳴らす悪魔はいったい誰だ。
昭和22年、白昼の宝飾店を阿鼻叫喚の地獄に変え世間を震撼させた「天銀堂事件」の容疑者とされた元子爵・椿英輔氏が失踪した。その後、戦火から焼け残った椿邸から始まる連続殺人に金田一耕助は挑む。
不気味なフルートの音色、いたるところに提示される火焰太鼓、さまざまな場所で目撃される椿子爵の影。そして、美貌の元子爵夫人を含めた椿邸の人々。彼らが放つ歪さはやがて思いも寄らない形を見せる。
椿子爵にとって犯人はまさに「悪魔」であっただろう。しかし、悪魔を悪魔たらしめたのは果たして誰なのか。かつての特権階級の人間の醜悪な戯れから生まれた悲劇は、どこまでも悲劇しか生まなかった。
個人的には、事件後に残された者、特に椿家の外側の人たちのその後が気になる。
