
くる見
@walnut966
2026年8月8日
杳子・妻隠
古井由吉
読み終わった
病んでいる描写がとても細かい。たくさんの言葉から、谷底に座る杳子や熱にうかされる寿夫の感覚の具合が伝わってくる。
杳子は、病気と健康な人の境が分からなくなる話だった。
はじめは、杳子は病気としか思えなかったけれど
彼女の姉が登場すると、これが本当にそうなのかな?と分からなくなる。
序盤〜中盤は読んでいても色が感じられなかった。岩に囲まれた谷底や、灰色の空と海。
でも最後の、杳子の部屋に入る場面は色んな色があった。水色のネグリジェ、赤いカーディガン、窓から差し込む夕陽の色…。
そういう色の印象が変わることと同じように、病気と健康も反転している気がする。
病気だったはずの杳子から、序盤に描かれた危うさがあまり感じられなくなる。
健康になったはずの杳子の姉は、今も神経を病んでいる素振りを見せる。健康になるってどういうことなんだろう。