
くる見
@walnut966
- 2026年8月23日
菜食主義者きむふな,ハン・ガン読み終わった小説を読んでいると時々「くらった」と思うことがある。 何か強い衝撃を与えられたときの気持ちに近い。 そして今回、見事にくらってしまった。 それぞれの視点で描かれる連作小説。 菜食主義者というタイトルから想像していた話より遥かに壮絶。 しんどいのに、読むのを止められないあの感覚。でも読んでよかった。 人間から獣へ、獣から植物へ変わっていく過程。またそれに翻弄され取り残された人間の、そのもがく様が不気味であるのに釘づけになってしまう。 人間も動物の一種であり、動物も植物も生命という大枠に含まれているが、その境界線を踏み越えるときどうしておぞましいと感じるのか。 夜中から明け方にかけて読んでしまったせいで余計に頭がくらくらする…。 - 2026年8月21日
西の魔女が死んだ梨木香歩読み終わった物語に登場するまいと同じくらいの歳の頃に読んだことがあり、話の細かい部分は忘れてしまっていたものの、タイトルと最後の一文だけは忘れずに大人になりました。 読書にハマり、再びまいとおばあちゃんに会うことができました。夏が終わる前にどうしても読みたかった。 大人になっても、あの頃と同じ場面で、同じように涙が出ました。 色々なことが変わっていくなかで、自分の変わらない部分を見つけることができました。 - 2026年8月19日
停電の夜にジュンパ・ラヒリ読み終わった短編集で、男女両方の視点が含まれているのにもかかわらず、そのどちらもが妙に現実的。著者は性別を2パターン経験してきたのかと思った。 『セクシー』が好きだった。 セクシーという言葉の意味を、子どもが誤解して、知らない人を好きになること、と発したシーンは切なかった。 - 2026年8月16日
文庫 星の子今村夏子読み終わった主人公ちひろの周りは優しい人たちばかりだった。 両親は怪しい宗教に入れ込んでいて、ちひろはいわゆる二世なのだけど、その境遇がもたらす色々な出来事の中で、同級生や叔父などは優しく寄り添ってくれている。 ちひろが小学生の時に家を出ていった姉のまーちゃんも、家を出る直前にちひろと会話する場面でその優しさが見える。 こうしてみると、宗教にハマる親が悪者でちひろはその被害者であるように見える。それは実際そうなのだろう。住まいがどんどん小さくなっていったり、宗教が原因でちひろに悪い影響をもたらしている部分は確実にある。 それでも、両親が悪者だとはっきり決めつけることができないのは、両親はいつでもちひろのことを大切に思っていて、その部分だけは、優しくしてくれる同級生や叔父らと共通しているからだと思う。 - 2026年8月15日
蜜のあわれ・われはうたえどもやぶれかぶれ久保忠夫,室生犀星読み終わった蜜のあわれ 全編会話文のみの構成は案外するすると読めた。 三歳子の金魚ちゃんとおじさまのやりとりは純粋さ無邪気さの裏に艶やかさが潜んでいる。 これから先、赤い金魚を見たとき全部女の子に見えてしまう気がする。 われはうたえどもやぶれかぶれ 闘病記 痛そう、苦しそう…なのに、ありのままの描写であったり、同じ病院に入院している感じの悪い患者や意見の合わない看護師さんに対して自分の意志を貫こうとする部分から、病人とは思えない生き生きとした脈を感じた。 そこからの、生涯最後の詩 老いたるえびのうた はちょっと泣きそうになってしまった。 - 2026年8月12日
冥途内田百間読み終わった件が読みたくて。 夢の中にいるような、足元がぐにゃりと歪んで、覚えのあるようでないような空間に取り残されたときの不安な感じがあって、はじめは上手く場面を想像できなかったが、三十三篇を読み進めていくなかでふと自分にはまる瞬間が訪れる。 わたしにとってそれは『笑顔』の赤い林檎と『二本榎』の最後、左様ならという言葉だった。 二本榎に、赤い瑪瑙でできた金魚が出てくる。偶然、自分の好きな話のどちらともに赤いモチーフが出てくることに気づいてちょっとにやりとしてみたり。 - 2026年8月8日
杳子・妻隠古井由吉読み終わった病んでいる描写がとても細かい。たくさんの言葉から、谷底に座る杳子や熱にうかされる寿夫の感覚の具合が伝わってくる。 杳子は、病気と健康な人の境が分からなくなる話だった。 はじめは、杳子は病気としか思えなかったけれど 彼女の姉が登場すると、これが本当にそうなのかな?と分からなくなる。 序盤〜中盤は読んでいても色が感じられなかった。岩に囲まれた谷底や、灰色の空と海。 でも最後の、杳子の部屋に入る場面は色んな色があった。水色のネグリジェ、赤いカーディガン、窓から差し込む夕陽の色…。 そういう色の印象が変わることと同じように、病気と健康も反転している気がする。 病気だったはずの杳子から、序盤に描かれた危うさがあまり感じられなくなる。 健康になったはずの杳子の姉は、今も神経を病んでいる素振りを見せる。健康になるってどういうことなんだろう。 - 2026年8月4日
- 2026年8月1日
雪国川端康成読み終わった今年のプレミアムカバーが綺麗だったので、これをきっかけにして読むことに。 寒い地域特有の空気が澄んでいるような感じが、落ちてきそうなくらいにひしめく星たちや天の河の描写から伝わってきます。 注解を読み読み、当時の生活に思いを馳せつつ(自分が生きていない時代に対する漠然とした憧れがあります)島村の逗留中、そのもとへ通い続ける駒子のすがたに少し共感する部分もあり、人間の中身に時代という境界はあまりないなと思ったり。 駒子や葉子の美しさが島村というフィルターを通したとき、何が残るのか。 時間をおいて、いつかもう一度読んだときまた違うことを感じる気がします。 - 2026年7月26日
烏百花 蛍の章阿部智里借りてきた読み終わったまつばちりて、心が締めつけられるよう。 ゆきやのせみは「あの頃」を思い出してほっこりしたり反面寂しくなったり…。 主を選ばないのコミカライズを前に読んだので、ふゆきにおもうのお話は承知していたのですが 生まれ持ったからだや立場によってままならぬ恋愛のやるせなさを再確認しました。垂氷の三兄弟に幸あれ。 - 2026年7月26日
凍りついた香り小川洋子(小説家)読み終わった大好きすぎて、終わらないで…と思いながら読んでいました。 自殺した恋人の記憶を辿る旅。少しずつ明らかになる彼の過去。 人はみんなさみしい部分を持っていて、その表現の仕方が静かで美しい。 それに加えて魅力的な空間の数々。温室、洞窟、廃墟…。 292ページからの一連の展開は切なく苦しいものでしたが、それまで読み進めてきたことで積み重ねられた弘之と涼子にまつわる色々が一気に弾けるようで、より物語に入り込める部分でした。 余韻が今も続き、他の誰かに読んでほしい気持ちに駆られています。 エピローグの最後の一滴まで、ぜひ。 - 2026年7月19日
タタール人の砂漠ディーノ・ブッツァーティ,脇功読み終わった人生がもたらす悲痛な時の流れを感じました。 自分が望む結果を得られないまま、選択に失敗し続け、いつか起こるかもしれない幻想を期待しながら若い時間その先の時間を消費することの恐ろしさ。 これは小説だけの出来事ではなく、現実の自分にも、あるいは他の人々にも充分に当てはまることだと思います。だからこそ主人公ドローゴの人生、そこに容赦なく流れ続ける時の恐ろしさをリアルに感じます。 ラストは静かに、でもかっこよかった。 - 2026年7月12日
献灯使多和田葉子読み終わったディストピア文学と称されるものを読んだのは初めてかもしれません。 ディストピアとは反理想郷の意味。 この小説においては文明が退化したように見える世界。特定の言葉は禁止され、食べ物の流通もままならず、著しく体力の失われた子どもたち。 破滅へ向かう道途中でそれでも生きていく人間。 笑顔があります。楽しい会話もあります。 読みながら、難しいと感じる部分がたくさんありました。それは自分の中で答えが見つけられないからです。小説の中に答えがないから、自分で補完しようとするのだけれど、それがうまくいかないから難しいと感じる。 だけど、どんな世界になったとしても、なんとなくかたちを変えて、長い短いはあるかもしれないけれどそれでも生きていけると思える希望を感じました。 - 2026年7月5日
からだの美小川洋子読み終わった小川洋子さんの小説に出てくる、だれかの身体はすごく魅力的です。 なんらかのスポーツの選手…ハンドボール、槍投げ、水泳の飛び込み…他には、両手と片足を失った学生寮の管理人さんなど。 からだの動きから美しさを拾い上げる、その工程の秘密を知れるのではとわくわくしながら読みました。 手足はもちろん、視線や骨にいたるまで、それぞれを取り巻く境界線が融解してゆく様はまさしく、からだの美でした。 さしあたっては、ゴリラを見に行きたくなりました。 シルバーバックと呼ばれる、銀白色の背中を見に行きたい。 - 2026年7月5日
冗談に殺す夢野久作,日下三蔵読み終わった有名なドグラ・マグラを読む前に、夢野久作の作風に触れておこうと思い上巻(夢の巻)を購入。 怪奇、狂気、グロ、幻想に面食らうどころか、いつのまにやらおよそ600ページを読み終えていたので、勢いそのままに下巻の本書を購入し、そこから読み始めるまで時間が経ってしまいましたが本日読了。 上巻では空を飛ぶパラソルが一番のお気に入りでしたが、下巻では斜坑、難船小僧、眼を開く、が特に好きでした。 みずみずしく生々しい肉体の感触、狂った人間の感情、建物風景の詳細な描写に加えて、独特の言い回しや、誰かに語りかける形式の一人称視点…「夢野久作」を存分に堪能できた上下巻でした。 難船小僧の船および海上の生活、オンチが働く工場…自然の風景だけではなく、そういった人工物にも何かが宿っているような息づかいを感じます。 - 2026年6月22日
死体埋め部の回想と再興斜線堂有紀読み終わった救いを求めて第2巻。 分岐した未来、xにしろyにしろ祝部の行く先は……と思いました。 どうしたって彼の夜は、活動と先輩のために空けておくほかないのでしょう。 推理をして承認されて、埋めて、祈りを見届けて…そうしてたまに、遠いところで合宿をして。 それがずっと続けばいいと思いました。破滅への祈り。 - 2026年6月21日
君たちはどう生きるか吉野源三郎借りてきた読み終わったちょうど最近、自分が体験したことに通ずる場面があり その体験はけして気持ちの良いものではなかったのですが、このお話の身に刺さる鋭さを思うと、体験しておいてよかったと、またこの時期にこの本を読むことができて良かったと思いました。貸してくださった職場の方に感謝します。 苦しい後悔は、正しい選択に気づくための気持ち。 それに気づくことができれば、その方向に進んで行ける。 そういうことを、このお話から学ぶことができました。 - 2026年6月18日
死体埋め部の悔恨と青春斜線堂有紀読み終わったお茶目な文章が素敵です。 祝部と織賀の関係性が、単なる先輩後輩というところではなく 複雑でぐろぐろとした重たいものであるような感があり、心がギュッとなりました。 承認欲求というのは誰しもが持ちうるが他人からは批判されてしまいがちで、近ごろよく聞く言葉なのでお手軽な印象を持っていましたが… 織賀の承認を得るために、推理を披露する祝部の姿もある種の承認欲求であり、そこにはもっと切実で神格化された織賀への感情も混じっていて、複雑な関係性に拍車をかけています。 - 2026年6月16日
人質の朗読会小川洋子(小説家)読み終わった祈りにも似た朗読会。人質たちの九つの物語に込められた祈りは、きっとそれぞれ異なる意味を持っているのでしょう。 しかしそのどれもが忘れられない大切な思い出なのだと思いました。 他人にとってはなんてこともない、ただ通過していくだけのモノに与えられる唯一無二の物語。 小川洋子さんの書く物語が大好きです。 - 2026年6月14日
望月の烏阿部智里借りてきた読み終わった凪彦や四姫、次の世代がこれからの山内をどう生きていくのか気になります。 一方で、雪哉が近習だった頃が懐かしく寂しく思えます。 雪斎が本当は何を思っているのか、何にせよ辛いことには変わりないのだろうと思います。
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