杳子・妻隠
21件の記録
くる見@walnut9662026年8月8日読み終わった病んでいる描写がとても細かい。たくさんの言葉から、谷底に座る杳子や熱にうかされる寿夫の感覚の具合が伝わってくる。 杳子は、病気と健康な人の境が分からなくなる話だった。 はじめは、杳子は病気としか思えなかったけれど 彼女の姉が登場すると、これが本当にそうなのかな?と分からなくなる。 序盤〜中盤は読んでいても色が感じられなかった。岩に囲まれた谷底や、灰色の空と海。 でも最後の、杳子の部屋に入る場面は色んな色があった。水色のネグリジェ、赤いカーディガン、窓から差し込む夕陽の色…。 そういう色の印象が変わることと同じように、病気と健康も反転している気がする。 病気だったはずの杳子から、序盤に描かれた危うさがあまり感じられなくなる。 健康になったはずの杳子の姉は、今も神経を病んでいる素振りを見せる。健康になるってどういうことなんだろう。
しんどうこころ@and_gt_pf2026年6月25日読み終わった「杳」 意味 くらい。奥深い。また、はるか。とおい。 何も起きないのに、なんという不穏。 読書中はこの独特の暗さに引き込まれ、登場人物たちと同じように、意識と認識が曖昧になる感覚を体感する。 本作では人物も感情も出来事も輪郭が不明瞭である。だがそれは描写が曖昧ということではない。 なぜわたしはここにいるのか。なぜ当然のように息をし、直立していられるのか。ふとその感覚を見失い、焦燥を覚えることはないだろうか。 主人公たちはこの感覚のはざまに身を置かれ、互いに影響し合い、その境界線を曖昧にしていく。それは快楽であり、また苦悩でもある。 日常の触感、そしてその中に潜む微かなざらつきへの鋭い観察眼。 ときおりハッとさせられる描写に出会う。情景描写ではない。意識の描写である。言語化の難しい領域でありながら、共感を覚えるほどに巧みだ。 面白いとは少し違う。 だが、文学にしか描くことのできない領域が確かにここにはある。 不思議な読書体験であった。




山田三平@Yamada3P2026年6月18日読み終わった残しておいた『妻隠』も読み終えました。 心情をこれでもかと描写し、風景を事細かに描写していくことで、登場人物の心の中や景色だけでなく、もっと言語化できない気配や気分のようなことまで伝わる(ような気がする)ことに、不思議な気持ちになりました。 でも、なんか相手の気持ちがやっぱりわからないというか、計り知れない。 物語として単純化された感情を受け取る感じではなくて、現実のように分かったようなそうでもないような、やっぱり不思議。
山田三平@Yamada3P2026年6月9日読んでる『杳子』と『妻隠』のうちの『杳子』だけ読み終わりました。 読み終わって、簡単に感想を文字化できないことが分かってしまいましたが、メモとして書いてみます。 緻密な内面描写が圧倒的で、会話の内容も脳内をそのまま吐露したような異様さで、読書である私の感情は振り回され続けてしまいました。 やはり小説を読んだというより、現実社会で受け取る印象そのもののような。 その上で内容的には、一般的な価値観みたいなものに疑問符をつきつけるような。 とにかくすごすぎたんで、『妻隠』は続けて読まずに、一旦休憩します。
山田三平@Yamada3P2026年6月8日読んでるこの本、『杳子』と『妻隠』の二篇入ってて、そのうちの『杳子』から読んでて、まだその半分も読んでないんだけど、メモしたくなってきたので、とりあえず書きます。 初めての古井由吉であり、そもそも読書にハマったばかりの初心者なんでトンチンカンなこと言うかもしれないけど。 まず、この小説のわかりにくさが独特で、 小説のわからなさというより、 現実社会の人間のわからなさっぽいなと思いました。 そして、登場人物が病気だというから、 最初、女(杳子)が変だと思って。 でもよく考えたら不安定な若い女性にありがちな言動と言えなくもない。 むしろ、女の些細な言動を細かく分析して異常と断じる男のほうが変じゃないかと思って。 でもさらに考えてみたら、情報が少ない登場人物2人のうち、よくわからないのに男を変だと断定する読者の私が変なのではないかと思いだしてきました。 つまり、 普通に女が怪しい から、 男が怪しい(信用できない語り手)になって、 更に、 自分が怪しい(信用できない読者である私) への変化を著者に突きつけられたように感じてきました。 なんか、すごく不思議。 ここまで考えてしまうって、文学ってヤバい? それとも単に私がヤバい? というか、まだ半分も読んでないので続きをゆっくり読みます。読み終わったら感想変わるかな。

















