タケチ カツエ
@katsue
2026年8月9日
掌の小説
川端康成
三等待合室
この小説も「古本食堂 新装開店」のなかで知ったもの。
森瑤子の小説と対比しての紹介だったが、読後暫く考え込んでしまった。
森瑤子の一等待合室は、すんなり懐に落ちるような感じがあったが、これは謎が多いと思う。
男は三等待合室ではなく、普段は一等もしくは二等の常連だったのか。読みはじめ、わたしはこの男は二等もしくは一等がふさわしいと思う女性を、崇めて憧れをもって好きになったのだと思っていた。しかし読後、この男は自分のステータスに近い女に、安心して逢引のスリルや情欲を持っていたのかもしれないと思えてきた。
巡礼に出る高齢者夫婦に、人生の重みを感じたのにそれは犯罪者の逃亡姿だったのと同じく、同じステータスだから安心していた恋人が、まさかずっとつましい生活で自分をだましてひとときの夢をみていたのか、もしくは自分のもつ財力のオーラに好意を持っていたのかと思い巡らしたかもしれない。
しかし、それではあまりにも今まで情のない逢瀬の時間ではないか、嘘でも真でもひとときの夢としようという話ではないかと受け取った。