
文庫のある生活♪
@bunko_mylife
2026年8月3日
小鳥たちの計画
荒内佑
読み終わった
荒内佑『小鳥たちの計画』(ちくま文庫)
#読了
「西東京」という軸を感じる一冊。
23区にあるものとないもの。郊外に生まれ、ありふれた日常の中に、芽生え、息づいてきた小さな感性の欠片たち。断片的かつ不定形ながらも、それぞれが小さな光を放つ、音楽家(cero)・荒内佑氏の幼少〜青春〜現在へと繋がる回想記。
本人は否定するだろうが、本書からは「西東京」という土地からは切り離せない著者のアイデンティティを強く感じた。23区内の意味のある「場所」と西東京というある意味で代替可能な「空間」。多感な才能は常に「場所」を求めながらも、完全にそこに止まる訳ではなく、適度な距離感を保ち続けているのだ。
本書の表紙カバーの看板さえ撤去された大手ファミレスチェーン1号店は、現在では何事も無かったかのように新たな「空間」として代替され、地図は書き換えられている。あまりにも「絵にならない」この写真に、著者のささやかな意地のようなものを感じた。
