
ぎい
@untermrad_0702
2026年8月9日
11の物語
パトリシア・ハイスミス,
小倉多加志
短編集
再読済
表紙のデザインがよい。
ポップなぐるぐるの水玉模様、と思ってよく見ると、かたつむりがいっぱい……。
読む前に見るとかわいいんだけど、
収録作の「かたつむり観察者」を読んだ後だと、不気味さがじわじわくる……。
作者がかたつむりの観察を趣味としていたそうで、
そのせいか、妙にかたつむりのディテールの細かいのが、作品の気味悪さにつながっているなぁ。
収録作はどれも、行間から不穏さがにじみ出てくるようなものばかりで、
読み終わった後に残るいやな味、
口の中に異物が残っている感じというか、
得体の知れない物を飲み込んでしまった後の、不安感が後を引く感じというか……。
読者が読み終わった後にも、
作中の登場人物たちには、逃げようのないいやな出来事が、しつこくまとわりついて決して終わることはないんだろうな、
と想像してしまう余韻のあるのが、すごくいやですごくよい。
「愛の叫び」のハッティーとアリスの関係とか、
「野蛮人たち」のスタンリーの行動にすごくシンパシーを感じる。
一番好きなのは「ヒロイン」かな。
ルシールの過去の詳細は想像するしかないけれど、
自分の居場所を守るためなのか、人から必要とされ、不可欠な存在となりたいためか、
追い詰められて、逸脱した行動を取ってしまう狂気が哀れで好き。

