
イツキ
@maruitsuki
2026年8月10日
私たちはたしかに光ってたんだ
金子玲介
読み終わった
こんなに本気で何かを好きになって、人生ごと捧げられる青春が眩しかった。
瑞葉がさなぎいぬに注ぐ熱量にはずっと惹かれた。その熱が仲間を傷つけてしまう場面はつらかったし、努力して努力して、その努力によって自分の才能の限界まで理解してしまう過程も苦しかった。
そして、朝顔を好きだからこそ、自分からバンドを離れる瑞葉の選択が何より切なかった。
大人になった瑞葉の姿を最初に読んだとき、瑞葉にとって過去は「思い返すほど苦しくなるもの」なのだと思っていた。
でも、最後まで読むと違った。
つらいことは確かにあった。
後悔も、挫折も、傷もある。
それでも、あの頃は確かに幸せだった。
朝顔と、葵と、緋由と、本気で夢を追って音を鳴らしていた瑞葉は、間違いなく光っていた。
その光は、過ぎ去ったから消えるのではない。
今を生きる瑞葉の中に残り、これからの瑞葉まで照らしていく。
過去の光に今の自分が勝つ必要なんてない。
あのとき確かに光っていたという事実を抱えて、今を生きていけばいい。
読み終えたあと、『私たちはたしかに光ってたんだ』というタイトルが、青春への懐かしさではなく、人生そのものを肯定する言葉に感じられた。
終わってしまってもいい。
続かなかったとしてもいい。
選んだ道を後悔する日があってもいい。
光っていた事実は、消えない。
心から好きだと思える作品だった。





