小ぐま "ともぐい" 2026年8月9日

小ぐま
@wild_kuma
2026年8月9日
ともぐい
ともぐい
河﨑秋子
おもしろかった! いぬは死にません。 熊爪には父しかなく、「父」とは養父、狩猟その他の山で生きる技術、自然の掟、それとは異なる貨幣経済の仕組み、つまり猟の成果物をジャッジしてくる店の番頭や主人とか。 熊のように巣穴で冬眠したいと願って、実際巣穴に入ってさえみたり、盲目ゆえにジャッジしてこない陽子に惹かれたりするのは母を求めて。 でも陽子は熊爪の母ではないし、実は盲目でもない。力で従えることもできないし、胎内に容れてもらうこともできない。別の人間だから。熊爪が生きてきたどの世界の論理とも違う論理で生きる存在だから。 最後は閉じた巣穴ではなく、ひらいた小屋で終わる。でも開いていることも閉じていることもおなじ。 そういう話として読みました。予測できないのに、起こったあとではその展開以外はありえないと思わせるような、超ロジカルなミステリを読んだような心地。 いぬの場面すべてと、穴持たずを追って山に迷い込んだ怪我人をすごい迷惑そうに介抱するあたりが好きです。そういやこの人は見えない、からジャッジしてこない、弱くて世話が必要な存在としてやってくるんだ…
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