ゆい奈 "せんそうって" 2026年8月11日

ゆい奈
ゆい奈
@tu1_book
2026年8月11日
せんそうって
せんそうって
八木咲,
永井玲衣
P109「沈黙は実はいたるところにある。語られた言葉にだってあるのだ。その言葉が表現されるまでに費やされた年月としての沈黙、あるいはいまここで目の前のひとに語るときに、一文、一文のあいまに差し込まれる沈黙。はやさを伴っては出てこない言葉たち。場にゆっくりと置いてみるような言葉たち。」 言葉にならないなにかを、ごくりとのみこむ。のみこまれたものたちはどこへいってしまうのだろう。ならなかっただけで、あったはずのもの。私の腹のなかでとけてなくなって、この世に生み出されることもなく、あったことさえ忘れさられていくもの。風が吹いている。夏なのに、秋みたいな風が。せんそうなんて消えてなくなればいい。人が人を殺し、人が人に殺される。ガマの中で泣く我が子を母親が自らの手で水に沈めた話を思い出す。カエルの声がする。鈴虫の声がする。せんそうは音もなく近づいてくる。 P133「問いは、単なる痛みではないとわたしは思う。問いは、抗うことだ。そういうものだから、というあきらめや、「祖国のため」といったきらびやかな答えを、受け入れることはできないと、のたうちまわることだ。」 P197「せんそう、わたしはあなたを愛することはできない。」 次はなにを読もうかと本棚の前で吟味する。明日は担当患者様の入院時家屋調査があり、山と海のあいだにある家にいく。牛を8頭飼育しているらしい。人の数だけ生活があるという途方もない事実に気持ちが明るくなる。海沿いを片道一時間。雨が降りませんように。さて、今から勉強をします。一時間ほど。
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