紫嶋 "星の嵌め殺し" 2026年8月13日

紫嶋
紫嶋
@09sjm
2026年8月13日
星の嵌め殺し
星の嵌め殺し
川野芽生
私には短歌を技巧面で評価できるほどの知識はないので、これらの短歌が「上手いのか、否か」の判断はつかない。 なのであくまで「好みか、否か」とか「印象に残るか、否か」などで語るが、それで言うなら「綺麗だけどそれだけの短歌」という薄めの印象だった。 自由な言葉、自由な題材、自由なリズムで読める点は現代短歌の良いところ。 この短歌集に収められている短歌も、作者が好む世界観や風景、質感といったものがふんだんに散りばめられている。 それらを短歌の31文字の中で、どれだけ綺麗な単語と、雰囲気ある字面の漢字と、古語めいた響きで表現するかに注力している印象を受けた。 例えるなら、小さな額縁の中にいかに好みの綺麗な花や小物を並べるかという作業。 そうして仕上げられた文字列は確かに絵としては美しい。雰囲気短歌、アート短歌、ファッション短歌としては申し分ないだろう。 だが、そもそもなぜ短歌なのか、なぜその言葉なのか、なぜその情景なのか…そうした心に訴え迫りくる必然性のようなものはあまり私には感じられなかった。 例えばなぜ「白い」ではなく「皓い」の方の字を用いたのか。なぜ普段用いる言葉ではなく、あえて古文めいた言い回しで綴るのか。そこに「なんか雰囲気的に綺麗でかっこよくてそれっぽいから」以外の理由が伝わってこない。 作者と世界観を深く共有していたり、雰囲気に強く共感したりできる人ならば、これらの短歌も心まで響いてくるのかもしれない。 だが残念ながら、私にはほとんど響いてこず。 これが好みの違いなのか、私の感性の拙さなのかはわからないが。 装丁含め、雰囲気は申し分なく「綺麗」なので、本棚に並べて映えることは間違い無いと思う。
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