みずたま "18枚のポートレイト" 2026年8月14日

みずたま
@readslll
2026年8月14日
18枚のポートレイト
18枚のポートレイト
柏葉幸子,
植田たてり
短編集。3.11をテーマにしたお話がいくつか収録されていると知り、手に取った。 ヤングアダルト向けということもあり、どのお話も後味がわりとさっぱりとしていて、読む側の心に負荷が少なく読みやすい。 なかでも印象に残ったのは「海から来た子」で、ほかのお話と違って初見時は読後何がなんだかわからなかった。そのわからなさが気になって、もう一度読み返した。 私が3.11について考えるとき特に思いを馳せるのは、家族と離れ離れになったまま命を落とした幼い子どもと、震災孤児のことである。 「海から来た子」に登場する少女は、もしかすると、その二つのあいだにいるような存在なのかもしれないと思った。 亡くなった子どもであるようにも、震災孤児であるようにも見え、その両方を重ねて描いているように感じた。 震災は3月。家族との出会いは春。それから、つつじの咲く季節、浴衣を着る夏、紅葉の秋を過ごし、白鳥が飛来する季節になる。そうしてやっと、少女の声が出るようになる。 きっかけになった言葉からしても、受けた傷の形が少し変わり、誰かを頼って生きられる一歩を踏み出した気がした。 この少女の声のように、何度でも何度でも、大人を頼ってほしい。そういう気 持ちが残ったから、この一冊がヤングアダルトの棚に あることをなんだか嬉しく思った。
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