
イツキ
@maruitsuki
2026年8月13日
イクサガミ 天
今村翔吾
読み終わった
明治十一年。京都・天龍寺に集められたのは、全国からやってきた武芸の達人たち。
彼らに課されたのは、木札を奪い合いながら東京を目指す命懸けのゲーム「蠱毒」だった。
この設定を知った時点では、「明治時代を舞台にしたデスゲーム」というだけでも十分面白そうだと思った。実際、刀、槍、弓、忍術などを駆使する強者たちが次々と現れ、東海道を進みながら戦いを繰り広げていく展開は、とにかく熱い。
登場する武芸者たちには、それぞれ戦う理由がある。
何のために金が必要なのか。 誰を守りたいのか。 どんな状況でも、何だけは譲れないのか。
殺し合いという極限状態だからこそ、その人が何を信じて生きているのかが強烈に浮かび上がる。
特に好きだったのは、「ここだけは越えない」という自分なりの一線を持った人物たちだ。
敵か味方か分からない。 信用していいのかも分からない。 それでも、その人物が信じているものを知ると、不思議と惹かれてしまう。
一方で、そんな信念や倫理とはまったく別の場所にいるような人物も登場する。
ただ強者との戦いを求め、人を斬ることそのものを楽しむ者。
信念を持って戦う人物たちが魅力的だからこそ、そうした価値観の通じない敵の存在がより恐ろしく感じられる。いつ現れるか分からないだけで物語全体に緊張感を与える、非常に魅力的な敵役だった。
そして、本作について語るなら剣術の設定も外せない。
中でも愁二郎が学んだ「京八流」は、完全に好みだった。
武曲、禄存、破軍、巨門、貪狼、廉貞、文曲、北辰。
星の名を冠した八つの奥義。
名前だけでも格好いいのに、それぞれにまったく異なる特色があり、使い手によって戦い方まで変わる。
こういう設定がたまらない。
シリーズ第一作として、これ以上ないくらい見事に掴まれてしまった。
格好いい剣術と強烈なキャラクターが次々登場する、熱量の高い歴史エンターテインメント。
続きまで読まずにはいられない。



