
hoshinopants
@hoshinopants
2026年8月14日
「人それぞれ」がさみしい
石田光規
読み終わった
図書館でこのタイトルに釣られて借りた本。「人それぞれ」という漠然とした言葉をタイトルにするなんて。「人それぞれ」の、どのそれぞれにフォーカスを当てたのか気になっていたが、案の定、様々な「人それぞれ」のおかげで(があるせいでとも言える)それが孤独を作り出していることを取り上げていた。
多様性という言葉が生まれてきた中で、個性、個人、いわゆる「個」であることが尊重される時代になった。個という望まれていたものがいざ目の前に来てしまうと、今まで集団の繋がりで生きてきた人間たちにとって、個という自由はあまりに秩序やルールが足りなさすぎる。
例えば「昔はスーツで出勤が当たり前」というルール。今は多様な時代になり、自由な身なりで出勤していいという時代になったが、その多様な自由はどこまで認められるのか。ひとつのルールで縛るのではなく、いろんなものがあっていいと言いながらも、多様にしていくことで、「ここまでは良い、逆にここまではダメ」という、むしろルールを細かく作らなければいけない時代でもある。
そして、人それぞれという言葉は、個人を尊重するような言葉であるようで、実は様々な「個の尊重」から逃げてしまっている言葉でもあるということ。個が生まれたからこそ、異質な他者を限りなく遠ざける言葉を「人それぞれ」と呼んでしまう。
個を尊重する社会というのは、個を尊重しなければいけない社会でもあるということ。結果的に人それぞれであることで、言いたいことが言えない(「これを言ったらハラスメントになってしまう」「ダメなことを言えない」など)社会を作り出している。
言葉や表現がリスク化した今の時代、人それぞれという言葉を通して、異質な他者とは関わらない選択が最もよい選択とされてしまっていることを問題とした内容だった。
本当の自由は不自由を心から知らないと手に入らないなと感じる。せめて自分は、やっぱり対話することを諦めたくないなと感じた。
新書を読むのはまだあまり得意でないなと感じたが、読み切ったことで内容の理解が深まったのと、新しい本のジャンルを開拓できてよかった。結構読みやすい。きっとこれも人それぞれ。もっと違った言葉が欲しいな、寂しい。

