イシイルカ "みずもかえでも" 1900年1月1日

みずもかえでも
なるほどタイトルは水に楓。家紋か。美しい。 一生に一度の、失敗すれば取り返しのつかない作業を延々と続けるプレッシャー。 気難しい客の要望に応え、必死でシャッターを切る緊迫感は身につまされる。 今となってはシャッター音など無いカメラがほとんどなので、このような高座の緊迫感はおそらく存在しないのだろうけれど、演者と、その一瞬を切り取ろうとする真剣勝負は尊い。 写真の基礎、何をどうすれば映る画像がどう変わるのかという知識は、なんでもカメラがやってくれる現代では割と忘れられがちだけれども、その基礎が身体に染み付いている人と、ぽっと出の素人同然の新人とでは、全く違う。 そういうところをちゃんと描写してくれるのは好ましい。 叱られたり怒られることを極端に恐れる現代の若者、まるで存在そのものを全否定されるかのように忌避する姿は、なんともジェネレーションギャップを感じるところではある。 やる気はあるものの注意散漫や集中力の欠如、学習障害などで周りに誤解を与えるハンディを持つアシスタントを、なんとか一人前にしようと考える姿は、傍目には理不尽なことが多い演芸界の師弟制度とは対照的でなんとも感慨深い。 言葉には出さないけれど、ちゃんと見ていたよ、見守っていたんだよ、というラストシーンは、とても感動的で美しかった。 2025/12/08
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