I路
@skmr_mrmr
2026年8月14日
夜の恩寵
三浦しをん
読み終わった
最初は独立した5篇かと思っていたが、読んでみたらそれぞれ時間軸が繋がった連作集だった。2話は3話と、4話は5話と、そして5話は1話と繋がっている。
「胡蝶」はそれ単体だと不思議で切ないながらどこか希望も見出せる終わり方だったが、次の「夢見る家族」を読み終えると、不思議は不穏に代わり、語り手である次男への理不尽さを感じざるをえない。
「金の糸」は語り口が過去形なのと偶像的な描写もあって悲しい結末になるのかと思いきや、この本では唯一と言ってよい爽やかな読み味だった。しをんさんの好きな不思議系美形と(対比して)平凡主人公のブロマンスものっぽい。
その「金の糸」の兄視点である5話の「夢の子ども」が、不穏の始まりである1話の「神馬に乗る女」と繋がっていたというおぞましさ。
しをんさんは様々な雰囲気を書き分ける作家だが、個人的に読了までがしんどかった「光」ほどではなくても、本作もまたおどろおどろしい印象が強かった。救いのなさや夢という共通点も相まり、「天国旅行」収録の「君は夜」を思い出した。