
匙
@sajisann
2025年3月31日

ダロウェイ夫人
ヴァージニア・ウルフ,
丹治愛
読み終わった
「灯台へ」よりも視点の跳び方が強くて、その度集中に一区切りついてしまって読むのに時間はかかったけど、素晴らしい文章が多かった。良かった。
最後、今までの描写が重なって何ともなく泣けてしまった。透明なものを守ろうとして死へ向かおうとする心と、年を重ねて帰り道のわからなくなった人生を同時に肯定していく一瞬の主人公の世界全ての情感が胸を締めつける。捧げ物の為の捧げ物。帽子のくだり読み返してまた泣いた。鐘の音。鉛の輪が溶けていく…。
“その瞬間、わたしは見る、光を、クロッカスの花のなかで燃える一本のマッチの炎を、ほとんどおもてにあらわれかけている内部の意味を。”
