
ジクロロ
@jirowcrew
2026年8月15日

心理学と錬金術 1 新装版
C.G.ユング,
池田紘一,
鎌田道生
読んでる
しかしこのような変身ないし変容が成就するには、「周回 circumambulatio」、すなわち 創造的変容の場である中心への徹底的集中が不可欠である。そしてこの「周回」の際に動物に「噛まれる」わけであるが、これは無意識の動物的本能に対して、それと同一化することもそれから「逃げ出す」こともせずに身を曝さなくてはならないということを意味している。逃げれば、「噛まれる」儀式の意味は失われ、元も子もなくなる。
(p.196)
周回する、ということは中心の存在、その力、そのエネルギーを信じているということ。
カーバ神殿の周回、車輪の回転(荘子)、地球の自転と公転(太陽と季節の巡り)、立憲君主制。
“We are such stuff as dreams are made on; and our little life is rounded with a sleep.”
(『テンペスト』シェイクスピア)
この台詞における「 rounded 」の意味。「sleep(眠り)」とは、無意識の別名。
中心は、突き詰めれば点であり無である。
周回の際にあらわれる「動物」とは、周回運動を行うものの視点から捉えた「混沌」、「無秩序」の象徴。
「噛まれる」ことが儀式の一様式となるためには、信念が必要となる。その「痛み」もまた点であるが、これは周回軌道の線上に存在する点であり、微分すれば逃走線のベクトルとなる。ベルトルは新たな重力、その中心点を求め、無重力地帯を彷徨う。
周回は物語を創造し、逃走は変身譚を展開する。
周回するにせよ、逃走するにせよ、大事なのはその中心点を見極める、意識しているということ。
「振り回されている」、そして「噛まれる」、それを肯定的に捉えること。「噛まれる」ことにより、絶えず「眠り」を妨げること。
そして「動物」たちの瞳の奥を、「無秩序」の奥にある中心を覗き込むこと。