
Ayako
@aya_rb
2026年8月15日
湿地
アーナルデュル・インドリダソン,
柳沢由実子
読み終わった
アイスランドといえば、火山とジェンダー平等の国、ぐらいしか知識がなく、『女性の休日』の印象も強くて、なんとなく女性がパワフルで元気な国、のように思っていた。
でも、考えてみたら北欧圏、冬も長く環境的には厳しい国でもある。特にアイスランドは、単一民族に近く、家系図を遡ると誰もがつながってしまうような近さがあるとのことで、地理的にも閉塞感を感じやすい面もあるのかもしれない。秋から冬にかけてが舞台ということもあって、全体的に常に曇り空の下にあるような、うっすらとした陰鬱さと物哀しさが漂っていた。
著名な作家を父に持つ男性作家の描くこのミステリは、女性に対する暴力と、男性自身が自らの暴力性に向きあう/向き合えない苦しみ、がテーマだなあと感じた。2001年が舞台のせいか、被害者に対する、えっ!と思うような対応もあって、たかだか四半世紀前は、アイスランドといえどこんな感じだったのか、と。
伏線が張り巡らされてすべてが回収されることを読みごたえにしがちな最近のミステリの傾向とは違って、閉じられないもの、そのまま置かれているようなエピソードもあるけれど、シリーズものだからというのもあるだろうし、すべてが回収されず、なんとなく棘のように残るのも良いものだと思う。


